こんにちは、@MieチャットルームのMIEです。日本とオーストラリアで子育てをした経験から、わたしが感じた両国の教育の違いをお伝えする【豪州国と日本の幼児・初等教育ココが違う!】シリーズ。第2回目の「環境意識の高さはこうして育まれる」に引き続き、最終回となる今回は「原住民アボリジニとの関係からみる歴史との向き合い方」と題してお伝えしたいと思います。
オーストラリアという国を語るうえで忘れてはならないのが原住民アボリジニの存在です。
どの国にも差別や偏見、そして侵略といった暗い過去は少なからず存在します。オーストラリアにも白人の侵略による原住民アボリジニの排除の歴史があったことは周知のとおり。
過去に犯した過ちを謝罪し、現在そして未来へその反省を胸に新しい関係を築き上げていく。
そんなオーストラリアの素晴らしい歴史に対する姿勢は、教育の場にもしっかりと反映されています。今回は、前半でオーストラリアの「盗まれた世代」について解説し、後半には私の子どもが通う小学校で導入されている活動を事例にあげ教育現場でどのように過去の歴史と向き合っているかをご紹介したいと思います。
目次
Stolen Generations(盗まれた世代)

アボリジニへの侵略の歴史で最も非人道的な行為とされるStolen Generationsについて皆さんはご存知でしょうか?もしかするとStolen Generationを背景に制作された映画「Rabbit-Proof Fence」(2002年)をご覧になって知っているという方もいらっしゃるかも知れません。
『Stolen Generations(盗まれた世代)』とは、1910年から1970年にかけて、豪政府によって強制的に親から引き離され強制収容所や孤児院などに送られたアボリジニとトレス諸島民の子どもたちを指します。
「白人は文明のレベルにおいて優れており、アボリジニは比較的に劣っている。」
という白人至上主義が当時の政府の考え方でした。
2008年に、オーストラリア前大統領ラッド首相が国を代表して「盗まれた世代」に対して初めて公に謝罪したことは、国際ニュースでも非常に大きく取り上げられ、この国の大きな歴史の1ページとして刻まれました。
幼児から育まれる原住民への気づき

オーストラリアの子どもたちは幼稚園から原住民の言語や習慣、生活について学ぶ機会を得ます。
どこの幼稚園にも必ずアボリジニやトレス諸島民にまつわる絵本が置かれています。園児たちはオーストラリア国家をアボリジニの言語で歌うことを学び、工作の時間にはアボリジニーの点描アートを楽しみます。
教育現場で歴史を振り返るプログラム
NADOC WEEK
わたしの子どもが通う公立小学校では、年に一度アボリジニのシンボルカラーである赤・黒・黄の色の私服で登校する日があります。その日は朝からアボリジニとトレス諸島民にまつわるゲームやアクティビティーをして一日を過ごします。
これは「NADOC WEEK」といって、毎年7月にオーストラリア全土で開催されるアボリジニとトレス海峡諸島の人々の歴史、文化、功績を称えようという週間に基ずく行事です。
期間中、市民が様々な活動に参加し、地元のアボリジニやトレス海峡島民のコミュニティを支援します。

National Sorry Day
毎年5月26日に行われるNational Sorry Day (正式名称:National Reconciliation Week and National Sorry Day)は、家族や地域社会から強制的に引き離されたアボリジニやトレス海峡島民に対する虐待の過去を記憶し、再認識する日です。
盗まれた世代をはじめとするアボリジニやトレス海峡諸島の人々にとって大きな意味を持っているのは勿論の事、オーストラリア全土の人々にとっても大切な記念日となっています。
この日、NADOC WEEKと同じように学校でも行事が催されます。今年は子どもの通う小学校のFacebookページにNational Sorry Dayの取り組みの様子が投稿されていました。
最後に
過去を謝罪するって一個人としてもなかなかできることではないのに、一国の大統領が国を代表して謝罪を表明するって凄い事だと思います。
そして更に素晴らしいのが、それが表面的ではなく、きっちりと教育に反映され国民一人一人に根付いているということ。
さて、これまで三回にわたりお届けしてきました【豪州国と日本の幼児・初等教育ココが違う!】シリーズ、楽しんでいただけたでしょうか?
日本の教育のユニークな点、素晴らしいと思う部分についても、次回機会があればシリーズでお届けできればなと思っています!